企業が営業活動を実施するにあたって、使っているか使っていないかで大きな差が出るルールといえば、CRMとSFAです。では、CRMとSFAとは何が違うのでしょうか。
どちらにも共通して言える点は、データ連携ツールとして営業部門の業務精度を上げることです。今回は、営業活動に役立つCRMとSFAについて、用途や効果の違いを解説します。
CRMの機能
それでは、CRMの機能について解説します。CRM(Customer Relationship Managementの略称)は、ビジネスの顧客データを扱うツールです。一般的に「顧客関係性の管理システム」と呼ばれることが多く、顧客データを社内や取引先と連携で活用したり、顧客との関係性を継続したりするためのデータ管理に役立ちます。CRMのおもな特徴を紹介しましょう。
顧客データベース管理
CRMの顧客データベース管理では、顧客の属性(年齢・性別など)や行動履歴(購買履歴や問い合わせ履歴など)などのデータを扱います。顧客データベースに蓄積しておくことで、顧客行動に適した情報を提供し、居住地域によるグループ分けで興味関心の高い情報提供が可能です。
プロモーション
プロモーションでは、以下の機能を活用できます。
●メール配信:定型メールの一括配信やメルマガの管理・運営など
●広告キャンペーン管理:キャンペーン告知や効果測定、Webコンテンツの解析など
●SNS管理:各種SNSの運営や管理
CRMのこれら機能を会社組織で扱うことは、属人化しやすい営業活動を共有データで統括する機会にもなります。
顧客サポート
顧客サポートは、顧客とやり取りしたメールや電話の内容を記録してデータ管理できる機能です。さらにアンケート調査を実施して、セミナーや展示会のデータ管理もできます。
SFAの機能
営業現場では、営業支援システムとして重用されるツールがSFA(Sales Force Automationの略称)です。企業の営業部門において、見込み客の確度ごとに最適な営業活動を実施するためのデータ管理ツールです。SFAは、次の機能と特徴を持っています。
顧客と営業活動の現状を管理
SFAの機能は、対象となる顧客個人のデータを管理します。対象顧客の属性や行動などのデータを整理して、商談の際に役立てます。「いつ頃受注できそうか」など、顧客の現状を具体的に管理することで、最適な営業機会の創出が可能です。
営業活動の効率化
また、日々の営業活動を効率化する機能も利用できます。顧客との商談データを分析のうえレポート化し、日々の営業活動をToDoリストと通知機能で効率的な管理ができるでしょう。
役割の違うCRMとSFAの連携効果
CRMとSFAは、どちらもデータを連携して営業活動に役立てる連携ツールです。ところが、役割が違うため、適材適所で活用する必要があります。CRMとSFAで連携効果を期待できる共通する機能は、次のとおりです。
CRMとSFAの共通する機能 |
●顧客管理
●問い合わせ管理 ●メールフォーム作成 ●メール一括送信 ●メールマーケティング ●コールセンター管理 ●ToDoリスト作成 ●レポート管理 ●外部データ連携 ●スケジュール管理 |
これらの機能は、CRMとSFA,どちらも備えています。それでは、SFAとCRMの違う部分を紹介しましょう。
商談~受注までをSFA
SFAだけに備わっている機能 |
●商談の案件管理
●予実管理 ●営業日報管理 ●営業活動データの分析 ●名刺管理 |
SFAは、営業部門の商談から受注までに必要なデータ管理機能を扱えます。データ管理で扱う情報は、営業担当者の持つ営業ノウハウや営業活動の中で入手した顧客情報です。
本来ならば、営業担当者個人の経験値として抱えていた情報などもSFAで一括管理できるため、営業チーム自体の底上げに活用できます。つまり、営業活動の情報やノウハウの見える化による業務効率の向上が期待できるわけです。
受注から顧客関係性強化をCRMで
CRMだけに備わっている機能 |
●顧客情報分析
●受注情報管理 |
CRMは、受注に至った顧客を1回の購入だけで終わらせない施策としてデータ活用ができます。受注後の顧客に合ったクロスセルやアップセルなどの情報だけではなく、顧客が顧客を生み出すバイラルマーケティングとして精度の高い訴求も可能です。
まとめ:CRMとSFAの連携で効率的な営業活動を実現しよう
CRMとSFAの違いについて、機能を基準として解説してきました。どちらも連携ツールとしての役割を持ち、顧客データを最適な状態で活用できます。ただし、どちらもツールとして完全に統合していないことから、必要に応じて選ぶ必要があるでしょう。
SFAを選んだ方が良い状況は、営業現場が活性化しているのであれば有効です。SFAは、複数の営業担当者を統括できる要素を持っています。
CRMを選んだ方が良い状況は、自社の顧客が活性化しているときです。複数の属性の異なる顧客に対してグループ分けで最適な訴求ができます。
単純にまとめると、営業担当者の統括にはSFA、顧客の管理にはCRMという判断もできるでしょう。また、どちらのツールもシームレスに外部連携できる点も有効に活用してみてください。