訪問営業を中心にした従来のセールスは、「営業は足で稼ぐ」というくらい場数を求められました。最近注目されているインサイドセールスは、どのようなビジネスに向いているのでしょうか。
今回は、インサイドセールスに向いているビジネスと不向きなビジネスについて解説します。また、インサイドセールス導入にあたってのチェックポイントも紹介するので、お役立てください。
インサイドセールスに向いているビジネス
インサイドセールスは、従来の営業スタイルである外勤営業ではなく、電話やメール、Webサイトなどを使った内勤型の営業手法です。インサイドセールスに向いているビジネスは、2つの特徴を持っています。
ターゲット層への訴求ポイントが明確なビジネス
インサイドセールス向きのビジネスは、ターゲット層に明確な訴求ができる特徴を持っています。たとえば、自社製品に対して次の点が明確なビジネスです。
ターゲット層の属性 | ⚫︎ 年齢
⚫︎ 性別 ⚫︎ 居住地域 ⚫︎身分(会社員、学生など) ⚫︎家族構成 ⚫︎所得 |
ターゲット層の行動 | ⚫︎価格重視
⚫︎品質重視 ⚫︎ネットリテラシーの程度 ⚫︎トレンドへの反応 ⚫︎緊急性の度合い |
これらが明確でないと、手当たり次第の訴求になるでしょう。インサイドセールスは、間接的な接触で訴求する手法のため、ターゲットの絞り込みは必須です。
顧客との関係性を構築できるビジネス
インサイドセールスに向いているビジネスは、顧客との関係性が構築されている特徴を持っています。見込み客を集客して、一度購入してもらえば終了ではありません。ひとりの顧客と長く関係性を築けることが安定収益のポイントになります。
一時の流行で売上を伸ばすビジネスではなく、顧客との長期的な関係構築が求められます。たとえば、オンライン会計システムやレジアプリなどは、使い勝手の相性から継続利用が見込めるでしょう。
インサイドセールスに向いていないビジネス
インサイドセールスに向いていないビジネスは、2つの特徴を持っています。
顧客データのない新規ビジネス
インサイドセールス向けではないビジネスは、顧客データを持っていない新規ビジネスではないでしょうか。新規ビジネスは、実績がないため基本的に顧客データを持っていません。
そのため、まずは実績を作る必要があります。インサイドセールスは、マーケティングオートメーションやCRM(顧客関係管理)などのツールを活用して見込み客の段階から顧客データの収集、分析が可能です。
新規ビジネスの場合は、それら分析に必要なデータを一から収集しなければならないため、時間と労力を要します。
衰退市場のビジネス
すでに衰退市場となっているビジネスでは、インサイドセールスを仕掛けても無駄な投資になる可能性があります。インサイドセールスは、明確にしたターゲット層と関係性を構築する営業手法です。そのため、市場が衰退していれば顧客との関係性も続けられません。
衰退ビジネスへの参入は、投入する時間や労働コストを無駄にする可能性があります。社会情勢の変化などから、衰退市場ではなく、今後も伸びていく市場の見極めが必要になるでしょう。
インサイドセールス導入前のチェックポイント
自社ビジネスがインサイドセールスに向いていると判断できれば、営業スタイルとして導入することも方法のひとつです。ただし、導入には2つのチェックポイントを確認しておきましょう。
営業とマーケティングの業務が分けられている
インサイドセールスの導入は、営業部門だけでなくマーケティング部門にも大きな影響をおよぼします。そのため、営業部門だけで見込み客から既存顧客まですべての顧客データを管理しようとしたら、許容オーバーになるかもしれません。
インサイドセールスは、顧客心理の段階によって業務を割り当てることが求められます。マーケティング部門は、不特定多数の市場からターゲットを絞り込み集客することが担当です。また、集客の段階で見込み客の確度を高めることも求められます。
見込み度が一定の基準に到達した場合は、商談のため営業部門へと送客します。この業務連携により、マーケティング部門は集客と見込み客の育成、営業部門は商談成立に注力できます。
データ中心の体制が整っている
インサイドセールス導入には、データ中心の体制が必要です。インサイドセールスは、分析のもとで成り立つ営業手法です。データありきのビジネスと言っても過言ではありません。
インサイドセールスは、経験や勘で判断する営業部門の体制から脱却する必要があります。その理由は、訪問営業以上に多くの顧客データを利用するからです。
データ中心の営業手法には、属人的な判断が障壁となります。データ中心の体制づくりは、ビジネス規模拡大の基盤にもなるため、重要なポイントとしてチェックしておきましょう。
まとめ:インサイドセールスはデータ活用を念頭に導入を考えよう
インサイドセールスに向いている企業は、データ中心の体制づくりから始めなければなりません。その理由は、インターネットを活用したインサイトセールスの可能性にあるからです。インサイトセールスは、集客の段階からデータ分析が始まります。分析された顧客データは、購買後も既存顧客データとして活用します。
つまり、ビジネスの根幹は、データ活用にあるとも考えられるため、データ活用を念頭において取り組むことが大事です。それらの顧客データ分析を効率化するツール(マーケティングオートメーション・CRM)の導入もビジネスの加速に欠かせないでしょう。